厚木市立病院

足の潰瘍・壊疽外来

足の潰瘍・壊疽外来(下肢救済センター)

 足の指先の色が悪くなり、黒っぽくなってきた、じくじくしている、冷感や痛みがある、なかなか治らない等の症状は、血行障害による潰瘍・壊疽の可能性があります。軟膏等の外用治療や内服治療のみでは、治癒が得られず、大腿や下腿のレベルでの、下肢の切断をすすめられる場合があります。
 当院血管外科では、「下肢救済センター」として、足の潰瘍・壊疽外来を開設しており、血行障害による足の潰瘍や壊疽について、適切な血行評価と血行再建を行い、大切断(大腿や下腿切断)の回避に全力を尽くしております。
 当院では足の潰瘍・壊疽に対して、フットケアチームとして、血管外科、皮膚科、形成外科、糖尿病看護認定看護師等、創傷ケアに見識が深いスタッフが、連携して診療を行っております。
 足の潰瘍・壊疽が難治性でなかなか治らない、他院で切断をすすめられた等でお悩みの方は、一度ご相談下さい。

足の潰瘍・壊疽外来(下肢救済センター):外科外来内

※ 予約は、かかりつけ医やご自宅近くにあるクリニックなどから紹介された患者さんに限定させていただきます。

・外来日
火曜日午前(黒澤)
金曜日午前(山田)

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足の潰瘍・壊疽について

 足の潰瘍・壊疽の原因について、主に、動脈性、糖尿病性、静脈性に分けられ、以下のような疾患があります。

1.動脈性の原因:閉塞性動脈硬化症
 動脈性の血行障害を伴うものは、主に閉塞性動脈硬化症が多くを占め、動脈硬化が進行して、血管の内腔が狭くなったり、閉塞したりして、足の指先への血行が悪くなって発症するものです。潰瘍・壊疽の部位は、足趾、踵、趾間、くるぶしなどにみられます。過去に心筋梗塞や脳梗塞の既往、糖尿病、腎不全で透析をしている、高コレステロール血症など脂質代謝異常などは、発症リスクが高くなります。
 閉塞性動脈硬化症の中で、安静時にも痛みがあるもの(安静時痛)、潰瘍・壊疽があるものは、重症下肢虚血と呼ばれ、より血行障害が重度のものに分類され、下肢の切断の危険があるものです。その状態に、細菌感染を伴うと急速に状態が悪化し、早急な切断を余儀なくされる可能性があります。足の潰瘍・壊疽が出現した、足が冷たく、寝ているときにも足が痛い等の症状が出現した際には、血行障害の有無を判断する必要があります。

検査について:
身体検査:潰瘍・壊疽の部位、下肢の脈拍の診察
生理検査:
上肢下肢血圧比測定(ABI検査)
→上肢、下肢の血圧を測定します。血行障害がある場合、下肢の血圧が上肢より低くなります。
皮膚灌流圧検査(SPP検査)
→足の皮膚の血流を測定し、潰瘍が治癒できる血流があるかどうか判断します。
画像検査:造影CT、血管超音波検査など
 
治療について:
 足の潰瘍・壊疽の治療は、救肢のためには、迅速な血行再建が必要であり、また、血管内治療、手術治療、薬物療法、創傷管理までトータルで治療をすすめる必要があります。血行再建については、カテーテルによる血管内治療、バイパス手術や内膜摘除術など手術治療、それらを組み合わせたハイブリッド治療があり、病変に合わせて、選択する必要があります。血管外科は、その3つの治療に加え、創傷管理まで、すべて自科で専門として行える診療科であります。
 また、壊疽が完成してしまった部位は、デブリードマンと呼ばれる切除を行い、その後の創傷管理の継続が必要です。創部の状態の評価し、洗浄や軟膏塗布、適切な被覆材による創傷ケア、局所陰圧閉鎖療法(NPWT)と呼ばれる治癒を促進させる治療、良好な創面が得られた後に行う植皮治療などを行い、救肢に向けて、治療をすすめていきます。

治療例1:

治療例2:

治療例3:

治療例4:

 

2.糖尿病性の原因:糖尿病性壊疽
 糖尿病の合併症の一つとして、糖尿病性壊疽があります。特徴としては、細血管障害と呼ばれる毛細血管や細動脈の障害(皮膚レベルの細い動脈の流れが悪い)、末梢神経障害(感覚の異常があり、痛みを感じにくい)、易感染性(感染を合併しやすい、感染への抵抗力が低下している)など、複合的な要因があげられています。名前がついているような動脈までの流れは良くても、足趾の先端などに壊疽が生じる場合があります。通常は薬物治療(抗血小板剤、血管拡張剤、抗生剤など)、壊疽した部位の切除(デブリードマン)などを行いますが、閉塞性動脈硬化症により中枢側の動脈の閉塞を合併している場合は、血行再建の治療を行うことにより、治療できる場合があります。

3.静脈性の原因:静脈うっ滞性潰瘍
 下腿の内側などの皮膚が、茶色っぽく変色(色素沈着)し、皮膚が硬く(脂肪皮膚硬化)、その中にできた潰瘍は、静脈うっ滞性潰瘍の可能性があります。慢性静脈うっ滞と呼ばれる病態がベースにあり、静脈血(足から心臓へ帰る方の血流)が下肢に停滞している状態(静脈うっ滞)が継続していたことが原因となります。静脈うっ滞とは、下肢の静脈内にある静脈弁と呼ばれる一方弁が壊れて開いてしまい、一方弁としての機能が失われた状態(静脈弁不全)で起こります。
 主に下肢静脈瘤が原因でありますが、過去に深部静脈血栓症の既往がある場合に、静脈血栓後遺症として発症することもあります。元々色素沈着がある部位に、小さな傷を作ったことをきっかけに、潰瘍化し、通常の軟膏治療のみではなかなか治らないことが特徴です。
 治療には、弾性ストッキングや弾性包帯などによる圧迫治療の継続が必須であります。下肢静脈瘤がある場合は、同時に、レーザー焼灼術など、下肢静脈瘤の治療を行います。下肢静脈瘤は、典型的な皮膚の表面の血管のミミズ腫れが目立たない場合もあり、診断には、超音波検査による静脈弁不全の検査が必要です。

 

静脈瘤の血行動態:

治療例5:

 

スタッフ詳細

●血管外科

黒澤弘二 外科部長(血管外科担当)


平成7年慈恵医大卒
日本外科学会専門医・指導医
心臓血管外科専門医 修練指導医
日本脈管学会認定脈管専門医・指導医
日本フットケア足病学会認定師
フットケア指導士
日本血管外科学会認定血管内治療医
腹部ステントグラフト実施医 指導医
胸部ステントグラフト実施医 指導医
下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医 指導医
ECFMG(米国医師国家試験)Certificate

山田雄太 医員


平成29年金沢大学医学部卒

 

●皮膚科

福地修 部長


日本皮膚科学会認定皮膚科専門医

近藤絢香

 

●形成外科

岸慶太

日本形成外科学会専門医

 

●糖尿病看護認定看護師

清水正子

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