放射線技術科
放射線技術科について
放射線技術科には救急手術棟1階に放射線診断受付(X線撮影、乳房撮影、CT撮影、MRI撮像)、救急手術棟地下1階に放射線診療受付(放射線治療、核医学検査、骨密度検査)があります。夜間休日も放射線技師が常駐しており検査依頼に迅速に対応できるよう努めています。
X線撮影
X線撮影とは放射線の一種であるX線を使って写真を撮影する検査です。X線の発見者の名前からレントゲンと呼ばれることもあります。体の中のX線の通り抜け易さは臓器・組織ごとに異なります。その違いを白黒の差として画像にする検査です。撮影室だけでなく病室や手術室で撮影するポータブル撮影も行っています。撮影室は一般用3部屋と救急用1部屋、ポータブル撮影装置4台を有しています。X線撮影は全てフラットパネルディテクタ(FPD)を使用しており、検査時間の短縮と被ばく低減を図っています。
乳房撮影
乳房撮影はマンモグラフィ(mammography)とも呼ばれ、主に乳がんの診断を目的に行う乳房のX線撮影です。通常のX線撮影より微細な構造を画像化する必要があるため専用の装置を使用し、アクリルの板で乳房を挟み薄く広げた状態で撮影を行います。通常は片側の乳房につき2方向(上下・左右)から撮影を行い、必要に報じて一部分を拡大した撮影など追加撮影を実施することがあります。当院の装置はデジタル処理により乳房内の構造に合わせた表示が行われ、診断に適した画像を得ることができます。当院では女性技師による実施を原則としており、マンモグラフィ撮影の認定技師も複数名在籍しております。認定技師を中心に撮影を行うだけでなく点検など装置の管理も行い、安心・安全な検査の提供に努めています。
造影透視検査
X線撮影が写真だとすると造影透視検査はビデオに相当します。X線TV装置(エックス線テレビ装置)を使い、リアルタイムで動画を観察・撮影しながら検査・処置を行います。
使用される領域は多岐にわたり、内視鏡を併用し肺の組織を採取する気管支鏡検査(TBLB)、胆道の観察(ERCP)や、脊髄周囲(脊髄腔)の状態を調べるミエログラフィ(myelography)、骨折や脱臼などでずれた骨の位置を戻す処置(透視下整復術)、膀胱や尿道の状態を調べる膀胱造影、食物の飲み込みの状態を観察・評価する嚥下造影などがあります。
CT撮影
CTとはcomputed tomographyの略で日本語ではコンピューター断層撮影といいます。多数の方向からX線を体にあて、得られたデータから輪切りの断面の画像(断層像)を作成する検査です。当院にあるMDCT(multi detector CT)は一度に広い範囲を撮影できるので検査時間が短く、動きの影響が少ない高精細な画像を提供することができます。更に薄い輪切りの画像を積み重ね立体的なデータとすることで、任意の別方向の断面画像や3D画像を作成できるようになりました。特に320列CT装置では撮影範囲が16cmあり、寝台を動かすことなく心臓全体を撮影することができるので、動きの多い心臓でも良好な画像が得られ精度よく冠動脈を観察することができます。
検査の目的に応じて、臓器や血管などを観察しやすくするためにヨード系造影剤を用いた造影CT検査を行います。ただし、喘息・造影剤による副作用の経験(気分不良、じんましん等)・腎機能低下・その他アレルギーがある方は副作用をきたす可能性が高くなりますので、予約時・検査時にお申し出ください。
MRI撮像
MRIはmagnetic resonance imagingの略で日本語では磁気共鳴画像といいます。MRI検査は放射線を使用せずに強い磁気の力(磁力)によって、体の様々な部位を画像化する検査です。放射線を使用していないため、被ばくはありませんが、強力な磁気を使用するため、MRIに対応していない金属が体内に入っている方は検査を行うことができません。
また、検査は機械のトンネルの中に入って行うため、閉所恐怖症のある方も検査ができません。検査中は、工事現場のような非常に大きな騒音がします。
当院では、汎用磁場装置(1.5テスラ)と高磁場装置(3.0テスラ)の2台を有しています。“テスラ”とは、磁力の強さを表す国際単位です。数値が大きければよいという訳ではなく、それぞれの装置の長所短所を考慮し、より診断価値の高い画像を提供できるように使い分けて検査を行っております。
血管造影検査
血管造影は英語表記のangiographyから「アンギオ」と呼ばれることもあります。カテーテルという細いチューブを目的となる血管まで挿入し検査や治療を行う手技です。X線を使った動画を観察しながらカテーテルを目的の部位まで進めます。更に造影剤という薬剤を使用し撮影を行い血管の状態の確認を行います。治療を行う場合にはカテーテルを通じて薬剤や器具を入れ、血管の内側から治療を行います。このような血管内治療をinterventional radiology:IVRといいます。当院では主に心臓を対象とする心臓カテーテル室と心臓以外の胸部や腹部、四肢、頭頸部を対象とするハイブリッドOP室の2部屋に装置を導入しています。
心臓カテーテル室
循環器内科専用として運用しており、主に心臓の検査、治療を行います。心臓の筋肉に栄養を送る血管(冠動脈)が狭くなることで発症する狭心症や心筋梗塞が対象で、冠動脈の状態を調べる検査や狭くなった血管を広げたり、血管の詰まりを取り除く治療を行っています。
ハイブリッドOP室
血管造影装置と手術室(OP室)を組み合わせて(Hybrid)構成されています。カテーテルを使用した血管内治療と皮膚切開を伴う手術の両方を行う場合に特に有用です。
当院では主に脳神経外科、消化器内科の領域で運用しており、頭部、頸部、腹部、四肢などの血管を調べる検査や腹部大動脈瘤に対する治療(EVAR)、頸動脈狭窄に対する治療(CAS)、脳動脈瘤に対する治療(コイル塞栓)、肝臓がんに対する治療(TACE)、四肢の血管の狭窄に対する治療(拡張術)、胸郭出口症候群に対する治療など様々な検査、治療を行っております。
放射線治療
放射線治療は手術療法、化学療法(抗がん剤)と並び、がん治療の三本柱の一つです。組織を切除せずに治療を行うため、臓器の機能や形態を保ちつつ治療することができます。放射線治療は病状に応じて、治癒を目指す根治照射、再発予防の照射、今ある症状を和らげるための緩和照射があります。当院の放射線治療装置は位置照合用の画像撮影機能と位置のズレを補正できる寝台を備えており、従来の装置に比べ高い位置精度での放射線治療が可能となりました。当院では放射線治療品質管理士や放射線治療専門技師など専門的な知識を持ったスタッフが毎日携わり、質の高い治療を提供できるよう努めています。
核医学検査
核医学検査とはごく微量の放射線を出す薬剤(放射性医薬品と言います)を用いた検査法です。放射線を出す物質を指す放射性同位元素(radioisotope)の略称からRI検査とも呼ばれます。注射などで投与された放射性医薬品の分布を撮像することで、血流や機能などの情報を画像化することができます。放射性医薬品は数多くの種類があり、対象となる臓器、検査の目的に応じて選択されます。当院の核医学診断装置は画像補正のためにX線CTが搭載されており、従来の装置に比べ質の高い画像を提供することができます。
骨密度検査
当院の骨密度測定装置の測定方法は、2種類のX線を用いたDEXA(dual energy X-ray absorptiometry)法と呼ばれる方法で関連学会に推奨されている方法です。骨折すると多大な苦痛とQOL(生活の質)の低下をもたらす脊椎及び大腿骨頸部の骨密度を直接測定することができます。
認定資格等一覧
進歩する装置を使いこなし、複雑化する検査に対応するためには技術・知識の向上が欠かせません。そのために認定資格制度を活用し、個人の専門性の向上に努めています。更に認定者が指導的役割を果たすことにより、安全で質の高い医療の提供できるよう放射線技術科全体で取り組んでいます。
資格名 | 認定機関 | 取得者数 |
第1種放射線取扱主任者 | 原子力規制委員会 | 5名 |
放射線機器管理士 | 日本放射線技師会 | 2名 |
放射線管理士 | 日本放射線技師会 | 1名 |
医療画像情報精度管理士 | 日本放射線技師会 | 2名 |
臨床実習指導教員 | 日本放射線技師会 | 2名 |
画像等手術支援認定診療放射線技師 | 日本放射線技師会 | 1名 |
検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師 | 日本乳がん検診精度管理中央機構 | 8名 |
放射線治療品質管理士 | 放射線治療品質管理機構 | 1名 |
放射線治療専門放射線技師 | 日本放射線治療専門放射線技師 認定機構 | 3名 |
核医学専門技師 | 日本核医学専門技師認定機構 | 1名 |
血管造影・インターベンション専門診療放射線技師 | 日本血管造影・インターベンション専門診療放射線技師認定機構 | 1名 |
救急撮影認定技師 | 日本救急撮影技師認定機構 | 2名 |
X線CT認定技師 | 日本X線CT専門技師認定機構 | 2名 |
医療安全管理者 | 全日本病院協会 | 1名 |
日本DMAT隊員 | 厚生労働省 | 1名 |
医学物理士 | 医学物理士認定機構 | 1名 |
医療情報技師 | 日本医学情報学会 | 1名 |
医療経営士3級 | 日本医療経営実践協会 | 1名 |